
ビジュアルプログラミングって何?
ビジュアルプログラミングって難しいの?
どんなプログラムを作れるの?
このような悩みを解決する記事です。
この記事でわかること
- ビジュアルプログラミングは直感的に操作できるため難しくない!
- 簡単なゲームや音楽が制作できる

元システムエンジニアのまると申します。
小学生の娘2人の母親目線でプログラミング学習について発信しています。
目次
ビジュアルプログラミングとは視覚的にプログラムを作成できる方法

ビジュアルプログラミング(Visual Programming)とは、パソコンやタブレットの画面上で、色のついたブロックやアイコンを並べて、アプリやゲームを作る方法です。
通常のプログラミングでは、コードと呼ばれる英語や数字の文字列を入力して、コンピュータに「こう動いてね」と指示を出します。ビジュアルプログラミングでは、パズルを組み立てるようにブロックをつなげるだけで、キャラクターを動かしたり、音を鳴らしたりできます。
難しい専門知識がなくても直感的に操作できるので、子どもの学習や、初めてプログラミングに触れる人にぴったりです。
ビジュアルプログラミングの種類
-イメージ-1024x538.png)
ビジュアルプログラミングには、大きく分けて3つのタイプがあります。それぞれの特徴と具体的なツールを見ていきましょう。
ブロックタイプ
カラフルなブロックをパズルのように組み合わせてプログラムを作成します。各ブロックには特定の命令や動作が割り当てられており、直感的に操作できるため、初心者や子どもにも親しみやすいのが特徴です。
- Scratch(スクラッチ): MITメディアラボが開発した教育用プログラミング環境です。ブロックを組み合わせて、キャラクターを動かしたり、音を鳴らしたり、簡単なゲームやアニメーションを作成できます。日本語にも対応しており、世界中の教育現場で広く利用されています。
- Blockly(ブロックリー): Googleが提供するビジュアルプログラミングライブラリです。ウェブ上で動作し、ブロックを組み合わせてプログラムを作成できます。作成したプログラムは、JavaScriptやPythonなどのテキストコードに変換することも可能で、テキストプログラミングへの移行をサポートします。
- MIT App Inventor(エムアイティー アプリ インベンター): Androidアプリを簡単に開発できるビジュアルプログラミング環境です。ブロックを組み合わせて、スマートフォン向けのアプリを作成できます。プログラミング初心者でも直感的に操作でき、実際に動くアプリを短時間で開発可能です。
フロータイプ
フローチャートのように、処理の流れを線でつなぎながらプログラムを構築します。各処理や条件を視覚的に配置し、データの流れや処理手順を直感的に理解できるため、複雑な処理の可視化や業務プロセスの自動化に適しています。
- Node-RED(ノードレッド): IBMが開発した、IoT(モノのインターネット)向けのフローベースの開発ツールです。ブラウザ上で動作し、各種デバイスやサービスを「ノード」と呼ばれるパーツで表現し、それらを線でつなぐことでデータの流れを構築します。センサーからのデータ収集や、クラウドサービスとの連携など、幅広い用途に利用されています。
- Unreal EngineのBlueprint(ブループリント): ゲーム開発エンジンであるUnreal Engineに搭載されているビジュアルスクリプティングシステムです。ノードを線でつなぐことで、ゲーム内のキャラクターの動きやイベントの処理などを視覚的に設定できます。
- MESH(メッシュ): ソニーが開発した、直感的なフロータイプのプログラミングツールです。専用のハードウェアブロックと組み合わせて、センサーやボタンなどの機能を持つ「タグ」を線でつなぎ、さまざまな動作や反応をプログラムできます。日常生活の中で役立つガジェットや、自作のIoTデバイスを簡単に作成することができます。
独自ルールタイプ
ブロックやフローとは異なり、各ツール独自のルールやインターフェースを持つタイプです。特定の目的や教育方針に合わせて設計されており、直感的な操作や独自の表現方法を採用しています。
- Viscuit(ビスケット): 日本発の子ども向けプログラミング環境で、文字を使わずに絵を描くことでプログラムを作成します。「メガネ」と呼ばれる仕組みを使い、左側に「今の状態」、右側に「変化後の状態」を描くことで、絵に動きを与えます。幼児や低学年の子どもでも直感的に操作できます。
- Springin'(スプリンギン): iPad向けのビジュアルプログラミングアプリで、自分で描いた絵や写真に動きやルールを設定し、ゲームや絵本を作成できます。プログラムの構築には独自のアイコンやルールを使用し、直感的に作品を作り上げることができます。
- RPGツクール: ゲーム開発向けのビジュアルプログラミングツールで、RPG(ロールプレイングゲーム)を作るために特化したソフトウェアです。マップを作成し、キャラクターやストーリー、戦闘システムなどを視覚的に設定できます。複雑なプログラミングなしで本格的なゲームが作れるため、ゲーム開発に興味がある初心者やクリエイターに人気があります。
ビジュアルプログラミングのメリット3選

ビジュアルプログラミングには、プログラミング初心者や子どもにとって多くの利点があります。ここでは、主なメリットを3つ紹介します。
メリット1:直感的に操作できる
難しいコードを書かなくても、ブロックやアイコンを使って簡単にプログラムを作れるのが最大の特徴です。通常のプログラミングでは英語や数字を使った「コード」の入力が必要ですが、ビジュアルプログラミングでは「動きのあるパズル」のように、マウス操作で指示を出せるので、未経験者でもすぐに使いこなせます。
✅ 文字入力が不要 → タイピングが苦手な人でも扱いやすい
✅ すぐに試せる → ブロックを並べるだけで、動作を確認できる
✅ 視覚的に理解しやすい → どのブロックがどんな動きをするのかが直感的に分かる
例えば、Scratchでは「○秒待つ」「右に動く」などの命令がブロックになっているため、英語のコードを知らなくてもキャラクターを動かすことができます。
メリット2:プログラミングの学習がしやすい
「もし〇〇なら」「くり返す」などのプログラムの基本を、自然に学ぶことができます。通常のプログラミングでは、「変数」や「条件分岐」などの概念をテキストで学ぶ必要がありますが、ビジュアルプログラミングなら視覚的にプログラムの仕組みを理解できるでしょう。
✅ プログラミングの基礎が身につく → 条件分岐・ループ・変数などの概念を実践的に学べる
✅ エラーが少ない → 記述ミス(スペルミスや文法ミス)が発生しにくい
✅ コードへの移行がしやすい → ScratchやBlocklyは、後からPythonやJavaScriptに変換できる
例えば、Blocklyでは「もし○○なら」「くり返し」などのブロックを組み合わせることで、プログラムの流れを学べます。将来、本格的なプログラミング言語を学ぶ際の土台を築くことができるのです。
メリット3:子どもでも楽しめる
ビジュアルプログラミングは、ゲーム感覚で楽しみながらプログラミングを学べるので、子どもにも最適です。 文字を使わずに視覚的な表現でプログラムを作ることができるため、小学生からでも取り組めます。
✅ ゲームを作れる → ScratchやRPGツクールを使えば、自分だけのオリジナルゲームを作成できる
✅ 自由な発想を活かせる → お絵かき感覚でキャラクターを動かしたり、ストーリーを作ったりできる
✅ プログラミング的思考が身につく → 試行錯誤しながら「どうすればうまく動くか?」を考える力が育つ
例えば、Viscuit(ビスケット)では、子どもが描いた絵に動きをつけられます。遊びながらプログラミング的思考を習得できます。
ビジュアルプログラミングのデメリット2選

ビジュアルプログラミングには多くのメリットがありますが、一方でいくつかのデメリットも存在します。特に、より高度なプログラミングを目指す場合には、限界を感じることがあるかもしれません。ここでは、主なデメリットを2つ紹介します。
デメリット1:複雑な処理に限界がある
ビジュアルプログラミングは、基本的な動作を簡単に作成できますが、複雑な処理を実装するには不向きです。本格的なロボットの開発や、動きが滑らかな美しい映像の出力は難しいでしょう。
また、ブロックやアイコンを使うため、大量の処理を行うと画面が見づらくなり、修正が難しくなることがもあります。
⚠️ 大規模なシステム開発には向かない → 条件分岐やデータの管理が増えると、ブロックの数が膨大になり管理が困難に
⚠️ 処理速度が遅くなる場合がある → 一部のビジュアルプログラミング環境では、最適化が不十分で動作が遅くなることがある
⚠️ 細かいカスタマイズが難しい → 既存のブロックでできることに制限があり、細かな動作を指定しにくい
例
- Scratchでは、高度な数学計算や大量のデータ処理が難しい。
- Unreal EngineのBlueprintは、シンプルなゲームには向いているが、大規模なゲーム開発では最終的にC++のコードを使う必要がある。
デメリット2:学習の進度が遅くなる可能性がある
ビジュアルプログラミングは初心者にとって学びやすい反面、プログラミングの本質を理解するのに時間がかかるかもしれません。テキストベースのプログラミングに移行する際に、ブロック操作に慣れすぎてしまうと、コードを読む・書く能力が身につきにくい可能性があります。
⚠️ プログラムの仕組みを深く理解しづらい → コードを直接書かないため、プログラムの内部構造を意識しにくい
⚠️ 本格的なプログラミングに移行しづらい → テキストプログラミングを学ぶ際に、構文や記述ルールを一から学び直す必要がある
⚠️ 習得できる内容に限界がある → 変数や関数、オブジェクト指向といった高度な概念を学ぶには、テキストコードの方が適している
例
- ScratchやBlocklyを長く使っていた人が、PythonやJavaScriptに移行するときに「コードを書くのが難しい」と感じることがある。
- ビジュアルプログラミングでは、プログラムの「仕組み」よりも「見た目の動き」に注目しやすいため、アルゴリズムの理解が浅くなることがある。
ビジュアルプログラミングでできること

ビジュアルプログラミングを使うと、ゲームやアニメーション、音楽制作など、さまざまな作品を直感的に作ることができます。ここでは、初心者や子どもでも楽しめる代表的な活用例を3つ紹介します。
簡単なゲーム制作
ビジュアルプログラミングを使えば、キャラクターを動かしたり、ルールを決めたりして、自分だけのオリジナルゲームを作ることができます。
ゲーム開発と聞くと難しく感じるかもしれませんが、ビジュアルプログラミングならキャラクターを動かす・敵を登場させる・得点を加算するなどの動作をブロックやフローで直感的に組み立てることができます。
できることの例
🎯 キャラクターを動かす → 矢印キーを押すとプレイヤーが移動する設定ができる
🎯 敵や障害物を配置する → ぶつかったらゲームオーバーなどのルールを作成
🎯 スコアやタイマーを設定する → クリア条件や得点システムを追加
具体的なツール
- Scratch → 簡単なアクションゲームやシューティングゲームを作成可能
- Blockly Games → パズルゲームを作りながらプログラムの基礎を学べる
- RPGツクール → ドット絵のキャラクターやマップを作りながら、本格的なRPGを制作
アニメーション作り
キャラクターや背景を動かすアニメーションを作ることも可能です。イラストを描いたり、キャラクターに動きをつけたりすることで、短いストーリーや動く絵本のような作品も作れます。
できることの例
🐱 キャラクターを動かす → キャラクターが歩いたり、ジャンプしたりする動きを作成
🐱 ストーリーを作る → キャラクターがしゃべったり、背景が変わったりする仕組みを作る
🐱 繰り返しの動作を設定 → 風が吹く、波が揺れるなどの動きをプログラムで制御
具体的なツール
- Scratch → キャラクターを動かしながら、ストーリーのあるアニメーションを作成
- Viscuit → 絵を描いて、ルールを決めるだけで簡単なアニメーションを作れる
- Springin’ → 物語やアニメを作れるiPad向けアプリ
音楽作り・演奏
ビジュアルプログラミングを使って、リズムやメロディを組み立てて音楽を作ったり、演奏したりすることもできます。音の高さや長さを設定したり、複数の音を組み合わせたりして、自分だけの曲を作ることが可能です。
できることの例
📢 音を鳴らす → クリックすると音が鳴る、一定の間隔でドラムが鳴るなど
📢 リズムを作る → 「4拍ごとに音を鳴らす」などのリズムパターンを設定
📢 楽器の演奏をプログラムする → ピアノ、ギター、ドラムなどの音を組み合わせる
具体的なツール
- Scratch → 楽器の音をプログラムして、リズムやメロディを作れる
- Sonic Pi → コードを書いて音楽を作るが、ビジュアル的な要素もあり学習しやすい
- EarSketch → PythonやJavaScriptで音楽を作れるが、視覚的な要素もあり初心者向け
ビジュアルプログラミングが子どもにおすすめの理由

ビジュアルプログラミングは、子どもが楽しく学べると注目されており、小学校の授業でも取り入れられるようになっています。
子どもがビジュアルプログラミングを学ぶメリット
ビジュアルプログラミングは直感的に学べるため、プログラミングを楽しいと感じやすい点が大きな魅力です。文字を使わず、パズルのようにブロックを組み合わせるだけでプログラムを作れるので、小学生でも簡単に取り組めます。作ったプログラムがすぐに動くため、試行錯誤しながら学ぶことができ、達成感を得やすいです。
また、ビジュアルプログラミングを通じて、プログラミング的思考が身につきます。「目的を達成するために、どんな手順が必要か?」を考える力が自然と鍛えられるほか、試して、失敗して、改善するというプロセスを学び、問題解決能力や論理的思考力を伸ばすことが可能です。
ビジュアルプログラミングでは、自分のアイデアを形にすることができ、ゲームやアニメを作りながら自由な発想を活かせるため、創造力や表現力の向上につながります。ストーリーを考えたり、キャラクターを動かしたりすることで、単に学ぶだけでなく、創造的な活動として楽しむことができるのも大きなメリットです。
ビジュアルプログラミングは、子どもが楽しく学びながら、論理的思考力・問題解決能力・創造力をバランスよく伸ばせる優れた学習ツールなのです。
子ども向けのビジュアルプログラミング言語
子どもが楽しく学べるビジュアルプログラミングのツールがたくさんあります。ここでは、特に人気のあるものを紹介します。
① Scratch(スクラッチ)
- 対象年齢:8歳以上(小学生〜中学生向け)
- 特徴:ブロックをつなげてキャラクターを動かしたり、ゲームやアニメーションを作れる
- おすすめポイント:世界中の子どもたちが利用しており、無料で使える
② Viscuit(ビスケット)
- 対象年齢:5歳以上(未就学児〜小学生向け)
- 特徴:絵を描いて、それに動きをつけることで簡単なアニメーションが作れる
- おすすめポイント:プログラミングの概念を直感的に学べるので、幼児にも最適
③ Code.org
- 対象年齢:4歳以上(幼児〜小学生向け)
- 特徴:ディズニーキャラクターやアニメの世界観で遊びながらプログラミングを学べる
- おすすめポイント:ゲーム感覚で学べるので、子どもが飽きずに続けやすい
④ Springin’(スプリンギン)
- 対象年齢:6歳以上(小学生向け)
- 特徴:タブレットで絵を描いて、その絵に動きをつけることができる
- おすすめポイント:アートやデザインが好きな子におすすめ
⑤ LEGO®︎ WeDo 2.0 / LEGO®︎ Mindstorms
- 対象年齢:7歳以上(小学生〜中学生向け)
- 特徴:レゴブロックとビジュアルプログラミングを組み合わせて、ロボットを作れる
- おすすめポイント:手を動かして学べるので、理科好きの子どもに最適
ビジュアルプログラミングの学習方法

ビジュアルプログラミングは、初心者でも独学で始めやすいのが特徴ですが、より深く学ぶにはオンライン学習サイトやプログラミング教室を活用する方法もあります。ここでは、それぞれの学習方法のメリットやおすすめのサービスを紹介します。
学習サイトを使って独学する
インターネット上には、ビジュアルプログラミングを無料または低コストで学べるサイトが多くあります。これらの学習サイトでは、動画やチュートリアルを見ながら実際にプログラムを作成できるため、初心者でも無理なく学習を進められます。
自分のペースで学べるため、好きな時間に取り組めるのが大きなメリットです。また、無料で提供されている教材も多く、気軽に始められる点も魅力的です。初級者向けから上級者向けまで幅広いコンテンツが揃っているため、自分のレベルに合わせて学習を進められます。
代表的な学習サイトとしては、Scratch公式サイトやCode.org、Blockly Gamesなどがあり、ゲーム感覚で楽しみながらプログラミングを学べるものが人気です。
プログラミング教室に通う
独学が苦手な場合や、体系的に学びたい場合は、プログラミング教室に通うのもおすすめです。教室では、講師から直接指導を受けながら学ぶことができるため、わからないことがあればすぐに質問でき、理解を深めやすくなります。
他の生徒と一緒に学ぶことで、モチベーションを維持しやすい点も魅力です。また、実際の作品制作や課題に取り組むことで、より実践的なスキルを身につけることができます。
代表的なプログラミング教室には、Tech Kids School、LITALICOワンダー、ヒューマンアカデミーこどもプログラミング教室などがあり、小学生向けのコースが充実しています。
まとめ

ビジュアルプログラミングは、直感的な操作でプログラミングの基本を学べるため、初心者や子どもにおすすめの学習方法です。ゲームやアニメーション、音楽制作などを楽しみながら学べるのが大きな魅力です。一方で、複雑な処理には限界があり、テキストベースのプログラミングへの移行が必要になる場面もあるので、目的に合った学習方法を選びましょう。まずは無料の学習サイトを活用し、気軽にプログラミングの世界を体験してみてください。