
工作が好きな子どもにおすすめのプログラミング教材ってある?
STEAM教育に触れてほしいけど、楽しいのかな?
このような疑問に答える記事です。
この記事でわかること
- 工作が好きな子どもにはマイクロビットがおすすめ
- マイクロビットが光ったり音が鳴ったりすると「STEAM教育って楽しい!」と思える

正式名称はmicro:bitですが、小学生向けにカタカナでマイクロビットと記載しますね!公式HPはこちらです。
目次
マイクロビットの基礎知識

マイクロビット(micro:bit)はどんな玩具なのか、見た目や機能について解説します。他のプログラミングツールにはない特徴や学ぶメリットを紹介します。
マイクロビットは簡単に電子工作できるキット
マイクロビットは、イギリスのBBC(英国放送協会)が教育用に開発した手のひらサイズの小さなコンピューターです。約4×5cmの小さい基盤に、以下の機能が備わっています。
- LED(25個)
- 光センサー
- 音センサー
- 温度センサー
- 磁気センサー
- 加速度センサー
- Bluetooth/無線通信機能
- Aボタン、Bボタン、タッチロゴ
- スピーカー
プログラミング初心者の親子が楽しく学べるように設計されています。
マイクロビットの基本的な機能を紹介
マイクロビットの基本機能を一通り紹介します。ここでは最新版のv2モデルをベースに、初心者が使いやすい機能のみ解説します。
(画像の引用元:https://store.iftiny.com/products/iftiny-microbit-basic)
機能 | 説明 |
LEDディスプレイ(25個の赤いライト) | 5×5の格子状で中央に整列していて、文字、図形、アニメーションを表示します。 |
ボタンスイッチ(AボタンとBボタン) | LEDの左にAボタン、右にBボタンがあります。プログラムで様々な動作を指定し、ゲームのコントローラーのように使用可能です。 |
各種センサー | - 加速度センサー: 傾きや振動を検知 - 磁気センサー: 方角(北・南・東・西)を測定 - 温度センサー: 周囲の温度を測定 - 明るさセンサー: 光の明るさを測定 - マイク: 周囲の音を拾って音量を測定 |
音機能 | スピーカーから音楽やビープ音を再生します。 |
タッチセンサー | ロゴマーク部分と端子部分(0, 1, 2番)をタッチセンサーとして使用可能です。 |
無線通信機能 | マイクロビット同士で通信可能なので、リモコンのような作品を作れます。 |
マイクロビットの動作環境
マイクロビットはプログラミング初心者でも簡単に始められます。マイクロビットを購入する際は、「マイクロビット 基本キット」「マイクロビット はじめてセット」などで検索するのがおすすめです。Amazonだと約6,000円のこちらのセットとなります。
別売りのワニ口クリップ(参考価格:税込440円)とロボットカーなどの電子機器を追加で購入すれば、工作のバリエーションを増やせるでしょう。
対応デバイスは以下の通りです。
- パソコン(Windows、Mac、Chromebook)
- タブレット(iPad、Android)
マイクロビットのプログラミングの方法は2通りあります。初心者~中級者はパズルのようにブロックを組み合わせるブロック型プログラミングがおすすめです。上級者はJavaScriptやPythonでコードを書くテキスト型プログラミングに挑戦できます。
マイクロビットを学ぶメリット
マイクロビットを学ぶメリットを、子ども目線と保護者目線で解説します。
- 子ども目線
- 遊び感覚で論理的思考力が身につく
- 自分で作ったプログラムが目に見えて動く成功体験が得られる
- 世界的コミュニティとコンテストによりモチベーションアップ
- 保護者目線
- 機材一式でも数千円〜と低コスト
- 難しい設定(環境構築)は不要
- センサーなどの機能が多く子どものスキルアップを狙える
マイクロビットは、STEAM教育ならではの論理的思考力を、家庭学習で楽しく身につけられます。
マイクロビットのMakeCodeエディターの操作方法

マイクロビットはブラウザ上で操作できます。具体的な方法を解説します。
操作方法1:エディターを開く
ブラウザでマイクロビット公式HPにアクセスします。
操作方法2:画面レイアウトを把握
マイクロビットのエディター画面は以下のレイアウトで構成されています。
エリア | 役割 |
シミュレーター(左) | PC画面上でLED・ボタン・センサー動作を即テスト |
ツールボックス(中央) | 基本・入力・LED・無線などカテゴリーごとにブロックを格納 |
ワークスペース(右) | ブロックをドラッグ&ドロップして組み立てるキャンバス |
モード切替タブ(上部) | ブロック/JavaScript/Pythonに変換 |
メニューバー(下) | ダウンロード、保存ボタン |
操作方法3:はじめてのコード作成
まずはチュートリアル「Flashing Heart」を開いてみましょう。最初から表示されている「ずっと」のブロックの中に、ツールボックスの基本を選択すると出てくる「LED画面に表示」のブロックをドラッグ&ドロップします。「LED画面に表示」の中の四角いマス目をクリックして塗りつぶし、画面左のシミュレーター上のLEDが点滅していれば成功です。
チュートリアルに慣れたら、トップページに戻り、新しいプロジェクトを選択しましょう。任意のプロジェクト名を入力するとエディター画面が表示されます。ワークスペースには最初から「最初だけ」「ずっと」のブロックが配置されていますが、不要であればワークスペースのブロックをツールボックスにドラッグ&ドロップすれば削除可能です。
操作方法4:テストとデバッグ
エディター画面上で作成したプログラムは、すぐに画面左のシミュレーター画面で動作内容が表示されます。予想と違う動きをしていたら、右側のツールボックスとワークスペースを編集して、プログラムを改良してみましょう。
操作方法5:マイクロビットにプログラムを書き込む
マイクロビットの実機を購入していれば、実機上で自分が作ったプログラムの動作を確認できます。Windows、Mac、ChromebookなどのPCは、USB接続で実施します。
- エディター画面左下の「ダウンロード」をクリックしてhexファイルをダウンロードする
- マイクロビットをPCにUSB接続する
- マイクロビットをブラウザにペアリングする
- 手順1で作成したhexファイルをマイクロビットにドラッグ&ドロップして書き込む
iOS、Androidなどのタブレット端末の場合は、Bluetooth接続で公式のマイクロビットアプリを経由してhexファイルをダウンロードします。
操作方法6:プロジェクトの保存・共有
マイクロビットはオンラインでプログラムを作成するため、プロジェクトは自動で保存されます。もし、プロジェクトをSNSなどで共有する場合は、画面右上の共有ボタンを押すと一般公開できます。URLコピーだけでなくQRコードでの共有も可能です。
マイクロビットのプログラム実例2選【入門編】

マイクロビットの初心者向けプログラムを紹介します。自分でプログラムを制作する際に参考にしてください。
入門編実例1:きらきら星メロディ
Aボタンを押すときらきら星の最初のメロディが流れます。Bボタンを押すときらきら星の途中のメロディが流れます。メロディを鳴らす赤いブロックは、8個のマス目をクリックすると8×8の格子状の編集メニューが開き、横方向に音を8個分、縦方向に音のドレミの高さを設定可能です。
入門編実例2:落下ブロックを左右に動かすゲーム
ロゴマークのタッチセンサーを押すと落ちてくるLEDのドットを、Aボタンで左、Bボタンで右に動かすゲームです。LEDは、横方向のX軸は左から0~4の値で指定でき、縦方向のY軸は上から0~4の値で場所を決められます。ドットが一番下(Y>5)まで到達すると顔文字が表示されてゲーム終了です。
ドットを積み上げる機能を追加できれば、テトリス風のゲームに改良できるかもしれません。
マイクロビット学習を長続きさせるコツ

マイクロビットの学習を継続させるためには、さまざまな工夫が必要です。目標設定のコツや、プログラミング学習に取り組みやすい環境作りを知れば、子どもの学習意欲がアップします。
コツ1:子どもが飽きない目標を設定する
マイクロビット学習を継続するには、「難しくてつまらない」と感じさせない工夫が必要です。何を作りたいかわからないまま動かしたり、いきなりいろいろな機能の実装を目指したりすると、子どもが飽きてしまう原因になるでしょう。
プログラミング学習の目標設定のコツは3点あります。
- スモールステップで始める
- 身近な課題解決をテーマにする
- 面白い作品を完コピしてみる
ロボットカーを作りたい場合、「タイヤを1秒回す」「右に動かす」「左に動かす」など細かくステップを分けて目標を設定すると、小さな「できた!」を積み重ねられます。「お母さん用のキッチンタイマー」「自分や兄弟が楽しめるゲーム」など、家族の役に立つものを制作できると、モチベーションがアップします。オリジナル作品を作る前に、面白い作品を完コピしてみて、動く感動を味わってみましょう。
コツ2:学年別に学習ステップを決めて親子で楽しむ
親は先生になる必要はないので、子どもと一緒にマイクロビット学習に取り組んでみてください。答えを教えるよりも、一緒に悩み、子どもの探求心をサポートする姿勢が大切です。
学年別の学習ステップの例を以下に示します。
学年 | 学習テーマ | 具体的なステップ |
小学校低学年 | 五感で楽しむ | ・ボタンを押して動物の鳴き声を出す・LEDで好きな絵やアニメを表示する・振ると絵が変わる |
小学校中学年 | 身の回りをハックする | ・部屋の温度と明るさを調べる・歩数計・おみくじ・じゃんけん |
小学校高学年 | 課題を解決する (複数の機能を組み合わせる) | ・防犯ブザー(人が近づいたらアラームを鳴らす)・ロボットカー制作 |
中学生~ | 本格的な創造へ | ・ブロック型ではなくPythonやJavaScriptに挑戦・各種センサーで集めたデータをPCでグラフ化・無線通信を活用 |
もしエラーが起きても、失敗ではなく学びのチャンスととらえましょう。S(Science)、T(Technology)、E(Engineer)、M(Mathmatics)の分野の知見が少しずつ深まるはずです。
コツ3:コンテスト・ワークショップ・オンライン教材を活用する
家庭での学習に行き詰まったり、より高いレベルを目指したくなったりしたら、外部のリソースを積極的に活用しましょう。
「micro:bit コンテスト」「プログラミングコンテスト 小学生」などのキーワードでコンテストを検索し、応募して腕試しすると、モチベーションがアップするだけでなく、他の方の作品を見て創作意欲がわきます。
また、民間のプログラミング教室が開催しているワークショップに参加して、専門家から指導を受けたり、同じ興味を持つ仲間と出会ったりするのも、貴重な体験です。
オンライン教材は、MakeCodeエディターのトップページにある「チュートリアル」や「プロジェクト」が最も質が高い教材となります。YouTubeで「マイクロビット 工作」「microbit tutorial」などで検索して、国内外のクリエイターによる制作動画を視聴するのもおすすめです。
NHK for Schoolの「Why!?プログラミング」も、マイクロビットと他のプログラミングツールについて学べます。
コツ4:家庭での片づけを工夫し安全に管理する
子どもが安心して学習に集中するためには、部品の紛失などでやる気を削がれないように、安全で整理された環境作りが必要です。小さな弟妹がいるご家庭の場合、以下について注意しなければなりません。
- マイクロビットを濡らさない、汚さない
- 小さな部品の誤飲に気をつける
上記の注意点を守るために、以下のルールを決めておくと安全です。
- マイクロビットは机の上に置いて作業する
- 部品を口に入れない
片づける際は、100円ショップで仕切りつきケース(ビーズケースなど)やポーチを購入して、マイクロビットのパーツを収納するのがおすすめです。ケガや紛失を防ぎ、スムーズに学習を再開できれば、マイクロビットの学習を継続しやすくなるでしょう。
マイクロビットのよくある質問(FAQ)5選
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マイクロビット学習に関するよくある質問とその答えをまとめました。トラブル解決や作品作りの参考にしてください。
Q1.プログラム転送エラー時のチェックポイントは?
A1.プログラムの転送がうまくいかない場合、以下の点を確認してみてください。
- ケーブルは「データ転送」対応か?: 充電専用のUSBケーブルではプログラムは転送できません。必ず「データ転送対応」のものを使用してください。
- PCのUSBポートを変えてみる: PC側のポートの不具合や電力不足も考えられます。別のポートに差し替えてみましょう。
- USBハブを外してみる: USBハブを介していると、マイクロビットが正しく認識されないことがあります。PC本体のUSBポートに直接接続してみてください。
- 「MICROBIT」ドライブは表示されるか?: PCに「MICROBIT」というドライブが表示されない場合、ほぼケーブルが原因です。それでも表示されなければPCの再起動を試みてください。
Q2.マイクロビットが動かない・LEDが点かない原因と対処法は?
A2.電源は入っているはずなのに動かない、という場合のチェックポイントです。
- Case1: 背面のオレンジ色のLEDが点かない
- 原因: 電源が供給されていません。
- 対処法: USBケーブルや電池ボックスが奥までしっかり刺さっているか確認してください。電池の場合は、電池切れや向きの間違いがないかチェックしましょう。
- Case2: 背面のLEDは点灯するが、プログラムが動かない
- 原因: プログラムが「ボタンが押されるのを待っている」など、起動直後に何もしない状態になっている可能性があります。
- 対処法: 動作確認のため、最初だけブロックにハートマークを表示するなどの簡単なプログラムを書き込んでみてください。それで動けば本体は正常です。
Q3.電池・USB給電どちらが便利?
A3.どちらにもメリット・デメリットがあるため、目的によって使い分けましょう。
メリット | デメリット | こんな時におすすめ | |
USB給電 | ・電池切れの心配がない ・安定した電力が得られる ・PCに繋ぐだけで手軽 | ・ケーブルが届く範囲でしか使えない ・持ち運べない ・動く作品には不向き | ・プログラムを作成・修正している時 ・机の上で動作テストをする時 |
電池給電 | ・どこでも自由に使える ・ロボットなど動く作品には必須 ・発表などで人に見せやすい | ・電池切れの可能性がある ・電池残量で動作が不安定になることも ・ランニングコストがかかる | ・完成した作品を動かして遊ぶ時 ・身につける作品(ウェアラブル)を作る時 |
プログラムを作るときはUSB給電で効率よく、完成した作品を動かすときは電池給電で自由に、と使い分けるのが最も便利な方法です。
Q4.ワニ口クリップの基本的な使い方は?
A4.マイクロビットにLEDを接続して光らせたり、外部センサーに接続したりする場合は、ワニ口クリップを使用します。名前の通りワニの口のような形のクリップを、マイクロビットのエッジコネクター端子に接続しますが、このときに接続する場所で戸惑う方が多いです。
ワニ口クリップは「0」「1」「2」「3V」のどれか1箇所と、「GND」に接続します。GNDはグラウンドの略で、電気の通り道の「帰り道(マイナス極)」の役割を果たします。電気を流すには「行き(0、1、2、3V)」と「帰り(GND)」の両方をつなぐ必要があるのです。
Q5.授業や自由研究の提出形式・レポート例は?
A5.作品をレポートとしてまとめるときは、以下の基本構成を参考にしてください。
1. テーマ(作品名): 何を作ったのか説明します(おしゃべり貯金箱など)。
2. 目的・動機: なぜ作ろうと思ったのか解説します(貯金するのが楽しくなるようになど)。
3. 使ったもの: マイクロビット本体、センサー類、工作材料などをリストアップします。
4. 作り方: 工作の過程を写真などを入れて説明します。
5. プログラム:
- 推奨: MakeCodeの「共有」機能でURLを発行し、レポートに記載します。
- 次善策: プログラム全体のスクリーンショットを貼り付けます。
6. 工夫した点・難しかった点: 試行錯誤した過程を書きます。
7. 結果と考察: 実際に動かしてどうだったか、分かったことなどを書きます。
8. 感想・今後の課題: 作ってみた感想や、次への展望を書きます。
まとめ

手のひらサイズのコンピューターであるマイクロビットは、工作が好きな子どもが楽しみながらSTEAM教育に触れられるツールです。プログラムを作ってすぐに動かせるので、トライ&エラーのプロセスを体験できます。
答えが一つではないこれからの時代を生きる子どもたちにとって、マイクロビットは「自分で考え、自分で創り出す力」を育む最高のパートナーです。親子でプログラミングに振れるきっかけとして、ぜひマイクロビットを活用してみてください。